だるま親方レポート 『ランカーの方向性』

 だるま親方がお届けするレポート『ランカーの方向性』 琵琶湖で岸からデカバスを狙い続けているだるま親方自身が考えていることを隔週ぺースで配信していただいています。

 このレポートの中にはランカーバスにこだわってきただるま親方だからこそ気づき、そして感じたことがたくさん書かれています。キット皆さんの釣行の参考になると思いますよ。

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VOL.61 ランカーの方向性  1月10日掲載

「補足と訂正」 第一回  【視覚】

 バスに限らず魚類は近眼であることを以前書いた。バスなら30cmの固体の前方視力は0.2以下、カジキ等の大型魚でも0.7程度の視力でしかない。魚の視軸の方向というのは重要で、下から獲物を襲う魚なら、前方やや上の視力が、真後ろから襲う魚なら正面視力が優れる。フィッシュイーターは大体、下から獲物を襲うようだ。バスは実際どうだか知らないが、受け口である為に経験上、やや下から獲物を襲うようだ。

 近眼というのは、魚にとって視力自体はそれ程重要でないことを意味する。鳥類は上空から獲物を探す為に優れた視力を持っているし、人間も石器時代は鳥類並みの視力を有していたと思われる。だが魚にとって近眼というのは他に重要な要素があったからだ。
 視力を捨てた最大の理由は広範囲をカバーすることである。魚は広範囲をカバーする為のレンズの形をとったのだ。ただ視力の悪い人なら実際に分かると思うが、形がはっきり認識できなくとも、象は確認できる。実際シイラなどは、数十メートル飛んでくるトビウオの着水予想地点に急行し、着水したトビウオを即座に捕食する。バスも同じで、活性の高いときは、飛行しているルアーの予想地点に急行し、着水したルアーを即座に食う。だから、着水ヒットは昼間に多く、夜は殆どない。

 獲物の細かい部分までハッキリ見えなくとも、象が確認できれば問題ないのだ。仮にバスの視力が2.0あれば、スレたらルアーにヒットするバスはいない。近眼だから間違えてくれるのだ。
 新参者の人類が釣りを始めるまでは、動きと象の確認で獲物を十分認識出来たと思われる。イチイチ確認しながら食っていては獲物に逃げられてしまう。だからスレたバスは、おかしなルアーには、一定距離を保って確認しようとする。このような場合、超リアルなサスペンドミノーなどは有効だが、それ以外の殆どの場合は、おおざっぱな形(細いか太いかとか、象で確認出来る程度)と動きだろう。
 世界中の職業漁師が使用するルアーを見ても、外見が本物ソックリというルアーはない。そのかわり、水に入れると動きは素晴らしく、時には本物を凌ぐ。

 最近の日本製のルアーには、外見が美しく、動きも素晴らしい商品も一部出回ってはいるが、中には外見の美しさの犠牲になり、動きが酷いものもある。人間が釣れるルアーが、魚にも効果があるとは限らないようだ。
 実際、水中の魚は捕食者に目立たないように地味な外見をしているし、バス自体も近眼である。細かい模様は、意味が無いばかりか、場合によっては返って不自然に見えるだろう。バスは細かい模様ではなく、大雑把な色で識別すると思われる。

 余談だが、色は生物にとって非常に重要な要素である。通常の生物は敵、あるいは餌に目立た無い為にボヤッとした色をしている。唯一の例外は毒を持つ危険生物だ。
 大体はハデな黄色をしていることが多い。なぜハデな黄色か?それは黄色はコントラストが日中はハッキリし、例え色盲の生物にも、その存在を認識させてしまう。(夜は逆に真っ黒がハッキリ目立つ)
 だが、これがボヤっとした黄色とかになると目立たないのでカラーというのは、おもしろい。特にボヤっとした青は、海では周りに溶け込み、最大限の自然さで、色盲の魚にも脅威を抱かせない。
 ・・・・・・琵琶湖にハデな黄色の生物はいない、昔の好奇心旺盛なバスなら、警戒色にも攻撃したろうが、現在ハデな黄色は、個人的には大嫌いなカラーである。(あくまで個人的にだが)

 ところで魚は視力は悪いが、視覚には優れる。目に偏向機能を持つものもいるし、夜でも優れた感度を持つ魚もいる。夜に優れた生物は、目に光を当てると目が光る。猫とか、魚ならアカメとかがそうだ。
 バスは夜でもヒットするので、夜でも感度のいい目を持っていそうだが、特別優れたというわけではなさそうだ。水面と月の間には結構光があるし、意外と黒いカラーが一番目立つ、日中はライトリグしか通用しない場所でも、夜には問題ない。・・・・・・と言うより、ライトリグは昼間しか通用しない。バスが優れた目の感度を持っていれば夜でも問題ないはずだ。バスの目も人間と同じように夜は、かろうじて見える程度というところか。

 バスは、餌を認識するときは視力ではなく、視覚に頼っている。だから、バスは光が嫌いなわけはない。バスはどこにでもいる。ただ、影についている奴の方がやる気があるので、人間が勝手に光を嫌うと勘違いしているだけだ。
 海老でバスを釣ると分かる。海老自体は動かないので、バスは視覚に頼るしかない。餌を使う釣りは、日向が一番よく釣れ、夜になると全く釣れない。
 バスにはマブタが無いと言う人もいるが、殆どの魚にマブタはない。ベラ科の魚にマブタはあるが、光を避けるためではなく、砂に潜る為である。
 日向はバスに全ての情報を与えてしまう為に、ボロが出やすい。バスは日陰を好むのではなく、ルアーで釣りやすい魚は日陰に多いだけだ。それと影で獲物を待ち伏せしているのだ。

 バスは、ファイトする時に激しく首を振るが、それでも目は素早く動き、一転を凝視出来る。首を振りながらでも視覚は確保されているのだ。以前ジャンプして首を振ってもと書いたが、魚は水から出ると視力を失うらしいので訂正しておく。
 視覚、カラー、色々な考え、思い込みがあるだろうが、現実は魚しか分からない部分もある。

だるま親方


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VOL.56 障害物 VOL,55 素材
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VOL,52 個体差 VOL,51 タックル ロッド編
VOL,50 VOL,49 疑似餌
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VOL,12

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VOL,11 ランカーの常識、非常識
VOL,10 フックについて VOL,9 ヒットルアーの移り変わり
VOL,8 カラーについて VOL,7 音とランカー
VOL,6 ラインについて VOL,5 水深とラージマウスバス
VOL,4 フッキングについて VOL,3 ランカーの習性 後編
VOL,2 ランカーの習性 前編 VOL,1 ランカーの方向性

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